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「End or Start」 桐蔭中等に屈する

2009/04/21

 4月19日、関東大会予選初戦(2回戦)が行なわれ、桐蔭中等教育学校と対戦した。桐蔭中等といえば、柏陽PHOENIXにとって特別な相手。かつてケイ組は初の公式戦で木っ端微塵に打ちのめされた。そして掲げたスローガンが「逆襲」。月日は経ち最終学年、その悲願は見事に達成された。横浜セブンスでは決勝で、横浜市大会(15人制)では準決勝でそれぞれ因縁の桐蔭中等と対戦し、両方とも完勝することができた。

 そして新チームになっても因縁の関係は切れてはいなかった。ただし今度は中等が挑戦者、柏陽が「受けてたつ側」。おそらく「柏陽を倒したい」という気持ちの大きさは、他のどのチームよりも中等は持っているだろう。ほっしゃん組にはケイ組のような実績もタレントも経験もない。にもかかわらず「受けてたつ側」・・・。

 不安要素はそれだけではない。3日前にLOマニアックをケガで欠き、あっきは高熱で土曜まで自宅療養。EBIはケガを無理して前日に復帰。層の薄くなった柏陽は、試合前から危機を迎えていた。あっきを強行出場させてもリザーブはFW0BK1。加えて時期は、新入生歓迎期間。つまり、放課後の練習はすべて「ラグビー体験会」しか行なうことができず、チームコンディションは決して良くない。そんな危険と不安は、現実となってしまった。

 キックオフ。序盤は中等のキック攻撃にも何とか応戦し、柏陽ペースで進む。15分、オギがサインプレーから1対1で相手キャプテンを抜き去り、先制トライを奪った。その後も敵陣深くでチャンスを迎えるも、あと一歩のところでミスを連発。追加点が奪えない。そして24分、想定内とはいえ、ひたすらキックキックの中等の徹底戦略にはまり、蹴り返しのキックがチャージの餌食に。前半を7-7で折り返した。

 後半も中等の戦略はまったくぶれない。柏陽陣深くに入っても、どんなにチャンスの状況であっても決して回さずキックを選び、ゴール前ではひたすらFWのラックサイド攻撃。その徹底ぶりが柏陽に小さなストレスを与え続ける。それに対して柏陽は、DFこそ穴を作らず、ラックサイドでもゲインを許さないタックルを続けるものの、攻撃はミスのオンパレード。とにかく1次攻撃からBKが暴投を連発。また、意識が一次攻撃に傾きすぎ、ブレイクダウンの精度は粗雑。この半年間積み重ねてきた連続攻撃をすっかり見失ったかのような大味なアタックを繰り返して得点できない。「やってきたこと」を忠実に決行する中等と、それを見失い焦るばかりの柏陽。ついに失トライを許し、「7-12」とリードを許してしまった。時間も迫り、焦る柏陽。エース・オギが決定的トライチャンスを迎えるも、相手も執念で追いすがり、襟首を掴んで守りきる(それしか止められないケースでのハイタックルだが認定トライは得られず)。そしてやはり暴投・・・。1次に固執し、2次以降のポジショニングもランナーの使い方もすっかり忘れ去り・・・。結局、ほっしゃんという絶対的ペネトレーターを一度も使うことなくノーサイドを迎えた。

 関東大会予選は、信じられないスピードで終ってしまった。唖然。信じられない、そして受け入れられない現実。力を出し切ることもできず、感動することも、応援してくれている方たちに感動を与えることもできず、空しさだけが残る終戦。あっという間にフェニックスⅡ・ほっしゃん組の月日は過ぎ去り、残すは花園予選のみとなった。「この試合で終る」のか「この試合から始まる」のか。ほっしゃんたち3年生は、これからはより厳しい文武両道が求められる。しかし道のりが厳しいほど、最後に得られる感動は大きく、人間としての成長も大きなものとなる。「頑張っているフリ」と「リアルに結果を出すための頑張り」の違いが、これからはより厳しく突きつけられる。ケイたちのように「華」という言葉の似合う集団では決してない。誤解を恐れずに言うならば、集団としても一人ひとりを見渡しても、凸凹、欠点だらけ、出戻り複数、悩みや葛藤も・・・。しかしそんな代だからこそ生まれる大きな力もあるはずだ。中等戦のこの煮え切らない試合で終ってしまうのか、花園予選で見る者に感動を与えるような「雑草の花」を咲かせるのか。すべては「覚悟」から。

イマカズ

「去年10月先輩が引退してから目指してきた春の関東大会予選、毎日のようにやってきたタックル練やキツい春休みの強化練習をみんなで乗り越え、やれることはやってきたはずだった。しかし結果は…。大事なところでのミスが多かった。しかしそれは防げたかもしれないミス。後悔だけが残った。今までの2年間の努力を考えて最後がこんな結果なのは残念過ぎる。確かに花園予選までやるのは本当に大変だと思うがその分得られるものは大きいはずだ。挑戦してみる価値はあると思う。」

まっつん

「あれだけ勝ち負けを意識した試合はなかったと思う。それなのに負けた、自分のミスのせいでと悔しくて悔しくて、けど泣けなかった。この思いはきっと十年、二十年たっても忘れないと思う。」

オギ

「試合が終わった後、たくさんの後悔が残りました。あそこでキャッチできてたら、もっとステップタイミングを早くしてたら、もっと走り回れたら。ただの負け惜しみにしかなってないけど、やっぱりそれだけ悔しかったです。試合では、スペースのある1対1なのに全然ぬけなくて、まだまだ未熟さを知りました。1番の収穫は、ステップをきるタイミングが悪いということがわかったこと。『このタイミングでは遅い』という感覚を忘れずに、どんな相手にもぬけるようなランを手に入れたいです。まだ時間はあるし、もっと食べて体強くして、次中等とやるときは絶対逆襲します。」

やっさん(PHOENIX1期)

「ほっしゃん組の関東予選を観戦しました。2年生、3年生みんながそれぞれ様々な思いを持って臨んだ試合だったと思います。その試合を見て感じたことを書きたいと思います。2年生。1年生に追われる立場になって自分にもっと火をつけてほしいと思います。もっともっとラグビーに貪欲になってください。
 そして3年生。こんな風にザクザク書かれたくないかもしれないけど、先輩として書きます。これから避けては通れない受験、高校生活最後の体育祭、文化祭…部員1人ひとりにやらなければならないこと、やりたいことが絶対にある。自分も1年前これでもかっていうくらい悩んでました。時間はないけど今は悩んでいいと思います。その中で自分にとってラグビー、仲間は何なのか?自分は何をしたいのか?後悔しないで柏陽を卒業できる道は何なのか?など、今もう一回本当によく考えてほしいです。その上で覚悟を決めてほしいと思います。覚悟を決めたらしっかりとやりきってほしいです。こっからはマジで一瞬です。」

コパ(PHOENIX1期)

「試合お疲れさまでした。試合の反省等はしばらく後にすればいいと思うので別の話をします。去年の関東予選で桐蔭に負けたとき、変な達成感がありました。正直言って「この試合でもう十分だ」とまで思いました。でも先生の「花園でしか得られない何かがある」という言葉を信じて花園まで続けました。結果としては一回戦負けだったけど、そこには確実に「何か」がありました。あえて詳しくは言いませんが本当に続けて良かった、これだけは言えます。先生もおっしゃった通り強要はしません。その上で花園まで続けてもらえれば幸いです。」

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