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菅平合宿記(後半)

2007/08/15

 3日目 昨日同様に午前中を過ごし、午後は山奥の98番グランドで学習院高等部と試合。チューの発熱欠場を補うために2パターンのメンバーを構成して臨んだ。

 

 序盤は完全に柏陽ペース。きむにぃ、ケイ中心にラインをブレイクし、早い時間に2トライ。14対0とリードした。しかしここから学習院にゲームを支配されてしまう。特筆すべきはDFの拘り。相手の意図するシステムに完全にはまり、柏陽アタックは完全にシャットアウトされた。攻めても攻めてもトライが取れない。しかもこの試合、ブレイクダウンでは明らかに劣勢。いい加減攻め疲れしたところでターンオーバーを許し、一気にトライを奪われるという流れが続いた。敵陣への行き方、トライの取り方も一貫している。

DFの拘り、ブレイクダウンの拘り、フィニッシュの拘り、「こう勝つ」のイメージが恐ろしく鮮明なのだ。中等部からの経験者が半分を占めるものの、一人ひとりが過激に強いわけでも速いわけでもない。しかし神奈川では出会えないほどゲームを理解した知的集団であった。それでいてメンタルも激しい。「気合」「根性」などの言葉をかっこ悪いと気取っている気配は微塵もない。全員で大声を出し、素直にど根性とぶつけてくる。脱帽、完敗である(14-34)。

 

 自滅ではなく、自分たちのラグビーをぶつけて攻略できなかった。収穫としては、「こういうDFはこう崩す。こういうアタックはこう守る。」ということが明確になったこと。何しろ我々は経験が必要なド素人集団。この試合で必死に攻め必死に守っただけでも、ラグビーを始めてまだ間がない一人ひとりにとって、貴重な経験である。今回は反省するよりも、相手に「あっぱれ」と称えるだけで十分だ。もちろん、来年は逆襲に燃えて挑ませてもらいたい。

 発熱でダウンする人数が増えているのが気になるが、3日目も有意義に終了。

  

   朝の散歩                       背中でアピール

4日目

 いよいよ最後の峠、午前は国学院栃木、午後は細田学園(埼玉県)のダブルヘッダーである。8時半というやたら早い時間のキックオフ予定を告げられ驚いていたのに、7時半ころにグランドに行くと、すでに別の試合が行われていた(7時半キックオフ?)。

 相手は花園常連校。指導者は私の大学時代の後輩、清宮早稲田時代を支えた敏腕コーチだ。もちろん1軍ではないが、1~3年生が同じ比率で構成されているそうだ。あの「コクトチ」の一員である。「どれほど強いんだろうか、やばいかな。」不安と闘志が入り混じる。

 

 試合は序盤から柏陽ペース。前日の課題、ブレイクダウンで後手を踏まず、持ち込んだボールがテンポ良く継続する。得意のムーブで先制トライ。直後にもカズの得意技「音の出るタックル」で相手を一発で倒し、こぼれ球をケイが独走してトライを重ねた。徹底してFW戦を仕掛けてくるコクトチと、超展開ラグビーの柏陽。対照的なゲーム運びだったが、FWが粘り、バックスが走りきる柏陽がセーフティーリードを奪った。終盤にコクトチの意地で猛追されるも何とか凌ぎノーサイド(47-24)。この試合の収穫は大きい。Aではないがあのコクトチを破ったという自信、柏陽の展開ラグビーは通用するんだという自信を手に入れることができた。

 昼食をはさんで午後。いよいよ最終ゲーム、細田学園との試合が行われた。知る人ぞ知るタマリバの名CTB田中さんと、スポーツライター時見さんが指導するチーム。「こんにちは!」大きな声で挨拶し、グランドに着くや否や各自が黙々とグランドを走り始める。「古きよき早稲田の匂いがする」疑いではない。明らかにその時代の早稲田を意識している。こういうチームの実力は底が知れない。柏陽はというと、チューだけでなく、おっさん、ケイも発熱。もう気力で戦うしかない。

 

15時キックオフ。評判どおり、相手の8番と10番がやたら強い。「ドシャローに違いない!」という勝手な予想は見事にはずれ、ディープアウト気味ピラーDF。取れそうで取れない。ブレイクダウンでほんの僅かに球出しが遅れ、午前ほどのテンポがでない。前半はスコアが開かないまま、もどかしく終了。後半はコパらが個人能力をいかんなく発揮して突き放し、細田学園の執念を振り切った(29-19)。この日も収穫はやはり1年生の活躍。後半は半数以上が1年生だったが、見事に成長の跡を見せた。「覚悟が固まった」ような躊躇のないタックル、もうボールを持っても放り捨てたりしない。目の前の相手を本気で抜きにかかる。捕まっても指先まで集中しきったダウンボール。これぞ夏のテーマ、CrushFight!自分の殻を破り、1年生は堂々とラガーマンになったのだ。

試合後も細田学園はとにかく爽やかで紳士的だった。「いいチーム、いい人たちだよね」柏陽選手が口をそろえる。ノーサイドの精神をどれだけ体現できるか、柏陽はまだまだいいチームになれるはずだ。

    

 

       MG          ずっとけが人。残念。        

夏合宿は3勝1敗で終了。体調不良、ケガ、「チームに迷惑をかけたくない」と、限界ギリギリのところで気力を振り絞った。「俺がやってやろう!」弱っている仲間をかばうために必死でプレーした。春のおとなしくナイーブな姿は消えた。チームのために声を張り上げた。そんな味方の気持ちを感じ、一人ひとりが声を出した。共鳴が絆を生んだ。「CrushFight」個人だけでなく、チームとしても殻を破ることができた。

 

マンオブザキャンプはドキンちゃん(2年)とあずき(1年)。ドキンちゃんはいつもどおり責任感に満ち溢れたタックルでチームを救い、時にロングパスでカズやケイらのトライゲッターを走らせ、時には体を張ったコンタクトで攻撃リズムを立て直す踏み台となった。「For the team」人格がプレーににじみ出る。

ドキンちゃん

去年の合宿では足を痛めて最後までプレーできなく、とても悔しく思っていました。なので『今年は絶対最後までプレーしたい』と思っていて無事プレーできてホント良かったです。
試合では自分の中でも納得できるタックルがあったし、アタックでも貢献できたとこがあって結構いい感触が掴め良かったです。チームも盛りあがるところでしっかり盛り上がっていつもなら暗くなっちゃう時も何がいけなかったかを話して声を掛け合っていてメンタル面でも成長したと思います。
2回目の菅平合宿。正直な感想、すごい疲れました。でもすごい楽しかったし、強くなれたと思います。初トライも取れたし、マンオブザキャンプの賞もいただけて最高の合宿になりました。合宿でできた事を確実な力にして賞と一緒にもらったジャージが似合うプレーヤーになれるようこれからもっと頑張ります!

あずきはこの1ヶ月でもっとも成長した選手。正直言って1ヶ月前はただのパスすらSOに届かなかった。チューの発熱というアクシデントの中、必死で走ってパスをした。最終日で放ったパスは見事だった。チームを救ったカバーDFには感動すらおぼえた。スクラムハーフとして、まだまだ身につけるべき課題は多い。しかしラグビーに夢中になって努力している限り、あずきの成長は止まらない。

  

 最後の夕食はバーベキュー            栄養合宿となったほっしゃん

 

  マッチャン 復帰を待ってます!             ヤキソバ拒否

 

  米で泥酔・・・                         シュークリーム屋

 

   部屋                             最終日朝はダボスへ

 

   ダボスで校歌

 

 バスの時間まで早稲田大学の練習を見学     早大FLコーチ羽生さんとリッキー

ケイ

部員が続々とやめていったなか始まった今年の合宿。1年だけでなく、これからラグビーが楽しくなっていくはずだった2年までリタイア。まるで伝染病のよう。柏陽生はどんだけ勉強が好きなんだと思いました。当たり前だけど合宿はキツかったです。そして柏陽は強くなりました。…けど、まだまだ強くなれる。いろんな部員がやめたなか生き残ったメンバーで合宿を戦い通した結果『このメンバーならもっと上を目指せる』と思えました。メンバー全員が本気で強くなりたいと思い、そのために努力して、試合前の円陣で一つになれれば、人生で一回あるかないかぐらいの感動を味わえる。はず。もっと強くなりたい。 
 最後に。1年生、もう初心者じゃない。練習から2年ともファイトしまくって。2年生の俺たちはなんだかんだ言ってまだラグビー初めて1年半に満たない素人。いくらでもうまくなれる。柏陽ラグビー部史上最強の代にしよう!!

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