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NEC・西田創選手コーチング 「ALL IN,ALL OUT」

2009/04/12

 関東大会予選が翌週に迫った4月11日、今年もNECグリーンロケッツのスクラムハーフ・西田創(つくる)選手がグランドに来てくださった。失礼を承知で掻い摘んで紹介すると、東福岡高校から低迷していた立教大学に進学。1年目からチームの大黒柱として立教躍進の原動力となり、現在の立教ラグビーの基盤を必死でもがきながら創造した「ミスター立教ラグビー」だ。3年次と4年次は、当時立教大学のコーチに就任した私とまさに一心同体となって対抗戦に挑み、2年連続で青山学院大学に勝利。その歴史的勝利や立教ラグビーの歩みはラグビーマガジンでも特集された。卒業後はNECグリーンロケッツに進み、立教史上初のトップリーガーに。辻高志選手など日本を代表するSH陣に対し、無名の立教魂が裸一貫で挑み、見事にレギュラー出場を果たした。評価はチーム外でも高まり、今や関東代表としても活躍中だ。

 

 この日は3時間みっちり西田塾。前半は全体に対してDFセッション。後半はBKにアタックとパスのセッション。その後はみっちりSHへのパスセッション。すべてのスキルを努力と思考と工夫で獲得してきた西田選手だけあって、やはり説明が明確。曖昧な感覚をすべて言語化し、その手本を自らの体で示して見せてくれた。

あずき

「最初に全体で、「一撃必殺タックル」やいくつかのドリル、ランニングパス、キックなどを教えてもらい、最後にハーフパスを教えてもらいました。自分達のフォーム別にアドバイスしていただき、さらに西田さんのめっちゃ速いパスをみせてもらい、感動しました。キックもすごく飛んでました。一撃必殺タックルが出来るようになって、パスも教えてもらった練習法やアドバイスを実践してうまくなりたいです。」

BIG HIGH

「昨年もNECの西田創さんに来てもらいましたが、その時は全くラグビーを知らず印象に残ったのはあの太股と胸板と超高速パス!!(あの頃からもう一年経ってしまったのかぁ…)あれから一年、今回はラグビーをちょっと理解した上で練習ができました。まずはタックル。松山先生いわく創さんは「努力で能力を高めてきたので全てが言語化されている」ため、タックルに必要な大事なポイントがまとまっていました。次はBK練。パスはもちろん、びっくりしたのはCTBやバックスリーがやるようなカットIN・OUTも極まっていたのに驚き!!(キックもかなり飛んでました…)さておまちかねのハーフ練。前々から先生に指摘されていたことがなかなか克服できなかったのですが、創さんからその克服にアドバイスをもらうことができました。(ちょっと克服できました!!)創さんはラグビーだけでなく、人間的にも優れている人でした。こんな人が目標となれるようにこれから努力していきたいです。ぜひまた来て下さい!!」

 西田選手から学べるものの価値は無限だ。言い過ぎでなく「日本一、生徒が人間として模範として欲しい選手」だ。誠実、謙虚、真摯、根性、執念、感謝・・・。どの言葉も、偽りなく西田選手と重なり合う。ラグビーは人間と人間が全人格をかけて戦うスポーツと言われる。プレー中のすべての瞬間すべての局面で、その人間力は問われ続ける。人間力がプレーと直結する。ラグビーが人間を育て上げる。・・・このテーマについて書きはじめるときりがないので控えておくが、とにかく西田選手を見てその真髄を感じて欲しかったのだ。

 関東大会予選の相手が決まった。あの因縁の相手・桐蔭中等教育学校だ。まさに決戦前。しかしその今だからこそ、鏡に映る己にもう一度問いかけて欲しい。「言い訳ばかり探していませんか?」「責任のベクトルを他人や環境に向けていませんか?」「初志を貫徹できていますか?」「享楽的な楽しさに流されず、本気で挑戦する中にある本物のエンジョイができていますか?」「自分のミスでチームが負けたとき、仲間はみんな納得してくれそうですか?」「責任や感謝、感じて行動できていますか?」簡単なようで、とても難しいことばかり。だけどそれが、柏陽PHOENIXが3年間かけて創り上げてきた信念と誇りだ。そんな積み重ねの末の試合だからこそ、感動が生まれる。

PHOENIX‐Ⅱ、すべては自分自身が「懸ける」ことから。

西田選手

「柏陽高校の練習に参加し、吾朗さんの家でBBQを終え、帰宅する車中、自分の中で「以前から抱いていたが言葉にできなかった感覚」の点同士が繋がり、線になったような気がしました。

「ALL OUT」という言葉は、大学時代に吾朗さんに薦められて感銘を受けた早稲田ラグビーの伝説の一冊のタイトルであり、当時の自分の大学ラグビー生活を支えてくれたものです。今でもその言葉は自分の座右の銘として、日々「やり残さず出し切る」という事を自問自答させてくれています。

しかしこの日の柏陽高校での練習を通じて、「ALL OUT」という感覚の中にもう一つ大事な要素をプラスする事ができたような気がしています。

「ALL IN、ALL OUT」

 全てを出し切るというのは容易な事ではありません。そしてそれを続けらるのは一流のアスリートという証なのだと思います。しかし「ALL IN」全てを受け入れること。取り入れること。これは既に自分が持っているものを出す事よりも難しい事でしょう。なぜなら、誰にでも、どんなチームにも自我があって、それぞれの価値観やスタイルは千差万別だからです。好きな事(人)、嫌いな事(人)、自分に合うこと、合わないこと。必ずそんな感情があるものだと思います。しかし、自分に合うか合わないか、チームに適しているか否かに関わらず、「全ての事象をまず受け入れようと心を開いて聞けるか」これはスポーツ選手に関わらず、とても大切な事ではないかと思うのです。まず真っ直ぐに受け止めてみる。そこに重要なヒントが隠されているかもしれない。無駄の積み重ねで終わるかもしれない。でも、初めから捨ててしまうことと、自分の心のフィルターを通してから「選んで捨てる」ことの差はとても大きいのではないでしょうか。

 柏陽ラグビー部の選手達の眼差しはまさに「ALL IN」でした。この日やった練習では僕は当たり前の事しか言いませんでした。おそらく監督から何百回も言われ続けている事でしょう。練習メニューも基本の繰り返しです。しかし、その中の「たかが1回」から何かを得ようとする姿勢がとても大きな感動を生むチームを創るのだろうと感じました。柏陽ラグビーには何十年も前からそんな伝統があるのかと思うくらい洗練されているように感じました。昨年度の卒業生達が創り、残した大きな伝統をチームほっしゃんも誇りに感じて受け継いでいってもらいたいと思います。まだまだ選手の能力に個人差はありますが、吾朗さんを信じて毎日を「ALL IN、ALL OUT」の精神で過ごせば、必ず目標達成できると思います。一年に一度行けるか行けないかの僕のような者の話を真剣に聞いてくれて本当にありがとうございました。僕もこの1日で大きな気付きがあり、新たに言葉として言語化できた事を大変感謝しています。また大切な試合の際には観に行きたいと思います。新生柏陽の飛躍を祈念しております。ありがとうございました。

オギ、目指せ高校ジャパン!!」

ナンバーは偶然ではありません・・・。

白状すると、前回西田選手が来たときに羨ましく思い、マネしちゃいました・・・。

 

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