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実りの季節到来!強豪・関東学院に快勝!

2008/06/15

 横浜セブンス優勝の歓喜から僅か6日後、横浜市15人制大会ブロック2試合目となる関東学院戦が行なわれた。うだるような蒸し暑さ。その嫌な気候も柏陽選手のテンションを下げることはない。なぜなら相手は強豪・関東学院(通称:カントー)だからだ。カントーは今年の公式戦、法政ニ高や向上といった花園を狙えるシード校相手に互角に戦っている。中学時代に桐蔭中を下して県チャンピオンになったラグビーエリート集団だ(対する柏陽はもちろん経験者ゼロ)。「カントーのラグビーは残虐だ。コンタクトの強さは県下最強」と、行く先々で耳にする。それほどデカくて強い。今シーズン始まる前から、柏陽ミーティングではカントーを県トップ5に位置づけていた。

そのカントー相手に、この日のゲームミッションは「コンタクト勝負」「インパクトプレー」「セットの安定」の3つ。特に意識したのは「コンタクト勝負から逃げない」ことだ。コンタクトに滅法自信を持つカントー相手に「コンタクトをできるだけ避けて上手く試合を運ぶ」などと考えては、粉砕必至だろう。ラグビー(闘球)の原点はやはりコンタクト。ごまかせやしない。公立進学校で花園に旋風を巻き起こしている長崎北陽台だって「ラグビー=コンタクト」の意志が伝わってくる。重くてパワフルなカントーにコンタクトで勝つ。必要なことは「スピード」「低さ」そして「狙い」だ。

キックオフ。想定どおり、カントーのコンタクトが炸裂。柏陽選手のタックルが「ピンポン球のように」弾き飛ばされる。ヒットは重く、ウェストラインに入ったタックルは、一見止めた風に見えるがミニモールやガットの土台にされたに過ぎない。中間試験やセブンスでゲーム感覚が薄れ、エリアマネージメントができない。自陣で蹴るべきときに蹴らず自滅。ゴールラインを背負って守りきれるほど、カントーのヒットは甘くない。あっさり先制トライを許す。

その後もカントー怒涛の攻撃は続く。しかし柏陽も必至に帰ってタックルして、また帰ってタックルして。意地のサイドDFを延々と続け、最後にカントーがミスをしてボールを取り返す展開が続く。つまり、我慢できている。

前半10分、耐え忍ぶ空気は次第にDFでプレッシャーをかける空気に変容していく。前に出る柏陽DFを前にカントーがミス。ルーズボールをケイ→カズと繋ぎ、50mを走りきってトライを返した。

その後もペナルティーからラインアウトモールでトライを奪われても、ラックサイドをチューが飛び込んでトライを返す。まさに一進一退。開始直後の「耐え忍ぶ」展開は、いつの間にか「互角にやりあう」展開となっていた。

 

ゲームを崩さない最大の原因は、スクラムの安定だ。半月前に関東六浦に破壊されたスクラムは、1週間前のテルさん(早稲田大学スクラムコーチ・石嶋さん)の手により、衝撃的なほど作り変えられた。「これほどまでに変わるものか・・・」驚愕。平均体重で10キロは上回るカントーのスクラムプレッシャーに対し、柏陽スクラムは全く動じない。エリアによってはむしろ柏陽がコントロールできている。恐るべしテリー・・・。

スクラムの要・椿

「今日は前回の関東六浦戦ではセットプレイ(特にスクラム)でボロボロだったので、今日の課題はセットプレイだ、と考えていました。結果はと言うと、スクラム、ラインアウト共にになかなかの出来だった、と思います。今の柏陽にはセットプレイの安定が不可欠なので今後もしっかり練習して今以上に精度を高めていきたいです。」

 後半はきむにぃを中心としたエリアマネージメントとゲームメイクが冴え渡り、大きなカントーを背走させ、到達点の集散人数でカントーを上回る。そして迎えたセットアタック。計画通りにカズが、コパがインゴールに飛び込み、追いすがるカントーを突き放した。

セーフティーリードを保ったままラスト3分。「守る柏陽と意地で攻めるカントー」という形にはなっていなかった。攻めるのは柏陽。さらなるトライチャンスを作り「ブルー!」「回せ!」など積極的ゲームメイクの声が響き渡る。あと一歩のところでトライを取りきれず「33-22」でノーサイド。「もう一本取れたのに・・・」落胆と怒りの表情。あのカントーに勝ったというのに。「でも勝ったんだ」という笑みがこぼれたのは、ノーサイドから10秒ほど経過した後だった。

 

低く刺さるタックルを連発・まっちゃん(左写真)

「今日は勝ててなによりだったけど、ホントに少しでも気を緩めたら一気に崩れることもあったかもしれないと思います。自分のことについては、前半はけっこう頑張ったけど後半で疲れてくると、タックルのあとのドライブがちゃんとできなかったので、もっと体力が必要だと思いました。」

後半は攻守ともにしっかりゲームを作った・きむにぃ(右写真)

「今日はかなり暑くて,個人的に大嫌いな天気でした。試合中は何回もばてて,ミスも何回かあって,まだまだ甘いなーと思いました。今日みたいないい試合の中で見つかった課題は特に直さなきゃいけないとおもうので,ひとつづつ潰してもっといいパフォーマンスをしたいです。」

内容は「これぞ柏陽が目指すラグビー」だった。守り方、攻め方、トライの取り方、ゲーム運びのすべてが青写真通り。過去記憶にないほどのナイスゲーム。県トップ5と位置づける強豪に対する勝利。ノーサイド直後の不満顔。横浜市大会予選リーグの大一番、最高の内容でビッグアップセット(大番狂わせ)をやってのけた。

キャプテン・ケイ

「いいラグビーができました。これから秋までどう過ごすかで心の底から感動できるかどうかが決まると思う。みんなでお互い刺激しあって上を目指し続ける集団になっていきたい。そのためにも、まずは明日です。気合い入れてDFで前に出まくります。」

 翌日は予選プール最終戦となる横浜高校戦が行なわれた。この日は普段出場機会の少ない下級生を可能な限り投入し、「内容はともかく1点差でも勝つ」ことをミッションとした。横浜高校はこの2年でメキメキ力をつけている。決して油断のできる相手ではない。

 ぴー、EBI、あっき、ほっしゃん、リョウ、あずき、イマカズ、オギがスタメンで、うみさん、まりも、ミットは後半から出場。総勢11名の下級生が登場した。

 前半は相手に対する甘い気持ちがプレーに現れ、無理な突破や雑なボールリテンション、不用意なプレーを連発。ラインアウトではことごとくノットストレートでゲームを自ら壊した。全くセーフティーリードが奪えないまま迎えた後半、得意のモールでゲームをスコア上支配して逃げ切った。トライの取り方はいまいち。やはりサインが機能しないと、カズがいないとうまくスコアできない。しかしDFではピンチらしいピンチを一度も迎えず、試合時間のほとんどを敵陣でプレーできたことは十分評価に値する。一人ひとりは反省だらけかもしれないが「1点差でも勝つ」と位置づけた試合で、失点の気配すらない「24-0」は、チームとして順調な底上げが進んでいることの証だろう。

 

実践の度に成長を示す・あずき(左写真)

「今日はプレッシャーに負けまくってしまいました。ラインアウトからのパスをファンブルしてしまったりボールインがボロボロだったりと、落ち着けばもっと出来たところもありました。夏までに個人練とかで克服していきたいです。」

カズを超えるエースを目指して経験を重ねる・オギ(右写真)

「今日の試合は、全然自分を活かすことができず、反省することばかりだった。ボールを貰ってもすぐ相手DFにすぐ捕まりノッコンをしてしまう……まだ簡単にジャッカルされてしまう……などミスの連続だった。しかし、僕がそういったミスをしてしまった時、キャプテンを中心に3年生の先輩が、『OK~ドンマイドンマイ!次あるよ!!』と、ボジティブな声をかけてくれ、自分の心に余裕がうまれた。そのおかげで、人生初の気持ちいいタックルを一本かますことができた。これから先、今日の苦い経験を活かし、ボールを貰う時はトップスピードで貰い、気持ちで負けずに『自分は絶対トライをとるんだ』と考えてプレーできるようになる。」

得意のジャッカルを連発・ほっしゃん

「今日は約一年ぶりにフルで出してもらえました。出だしからスクラム,ラインアウトのループで、すぐにバテバテ。あまり走れませんでした。でも最近の課題である「仕事をする所を見極める」というのが少し分かってきました。これからもっと「自分が役に立つ場所」で仕事できるようにしたいです。」

柏陽フェニックスは過去2年間の数々の試練を経て、この春、実りの季節を迎えている。過信も不安も捨て去り、揺るがない信念と誇りと誠実さをもって突き進みたい。6月も後半。残りの期間は僅かだ。柏陽フェニックス、もっと高く、どこまでも高く。

保護者の応援団扇も日々グレードアップ!?中央上部には校歌がプリントされ、その周りには柏陽が勝利した相手の校名が入ったシールが貼られ続けている。

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