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FWの柏陽!前へ!

2008/02/25

 「前へ」それは明治大学ラグビー部の重戦車FWラグビーを表す有名すぎる標語だ。FWの柏陽??いやいや、柏陽といえばBK。ケイ・カズ・コパらトライゲッターが快速を飛ばしてトライラインを陥れるのが柏陽のイメージ。何しろトライの9割をこの3人で奪っている。そしてその裏でこっそりスクラムとラインアウトには自信とプライドを持ち、黙々とサポートやサイドDFを繰り返す勤勉なFW。試合の鍵はいつも「県下最小最軽量の勤勉FW」がいかに耐え、BK勝負に持ち込めるか。「BKBKなら圧倒できる。しかしFWがモールで・・・」というのは、もううんざりするほどのパターンだ。その構図は2006年フェニックス誕生からの歴史。しかしこの日、その歴史も動き、ついにFWが主役となる一日を迎えた。

 224日、逆転負けを喫した失意の横浜セブンスから1週間、リベンジチャンスとなる横浜高校との練習試合が行われた。ケイ・カズ・コパの3エース、司令塔きむにぃはケガからの復帰を果たせないままだ。BKはまっつん、イマカズ、うみさん、リョウら1年生、復帰3週間のキョータ。サインは機能しない。渡せば何とかしてくれるフィニッシャーはいない。加えてグランドは水を含みステップも切れないほどの田んぼ状態。つまり・・・FWで勝ちをもぎ取るしかない。

 試合開始。前半は何度かボールを動かそうとBKに展開し、スクラムからもいつものサインプレーを試みたが、無残なほど機能しない。BKに出したボールは片っ端からハンドリングミスで失ってしまう。「いつもは攻撃の10割がBKだが、今日は6割FW・4割BKか」そんな目論見は前半で捨てざるを得なくなり、後半はFW10割へ。30分間BKラインには1回も出さない(ギネスブック?)ガチガチFWラグビーを展開した。

果敢にサイドアタックをしかけるハヤオ

「初めてFW中心の試合をしたのであまりうまくATすることができなかったけれども、FW8人でがむしゃらにプレイしてトライにつながったのは素直に嬉しかった。また古田コーチにラインアウトでのいろんなポイントを教えてもらい、モールもだんだんうまくなってきた。これからの試合でもFWでしっかりとゲームが組み立てられるチームになりたい。」 

 これまでの歴史を振り返ると、柏陽が押したモールは2年間で推定8~9m。しかしこの試合だけでなんと約85m(これを読んで驚く石戸さんの顔が想像できます)。FWが意図的に仕掛けたサイドアタックは1試合平均3~4本程度。しかしこの試合は51本。「FWで勝つしかない。」意地、拘り、熱い思いがプレーに伝わる。チューはひたすらキックでFWを前に出し、ぴー、EBI、やっさんはいつも以上に激しいプレーを、リッキー、椿、マッチャンはボールを持って一歩でも前へ、うずらはサポートを黙々と、ハヤオは文字通り「必死」のサイドアタックを繰り返した。後半のラスト5分は横浜高校怒涛の攻めを15人が意地だけで守り続けた。抜かれてもカバー、二の矢三の矢四の矢・・・。執念のノーサイド。

 

ゲームキャプテンにしてチームの支柱・椿

「今日はFWで試合を組み立てよう、というつもりで臨んでいたのでそれが実現出来て良かったと思います。実際の試合でモールを押せたのは初めてだし、あんなにサイドアタックを仕掛けたのも初めての中FW全員が動揺することなくプレー出来たことがとても良い経験になったと思います。」

ナンバー8らしく激しくゲインを突破するマッチャン

「今日はフォワードもやればできるんだとゆーところを見せれてとても良かったです。ゲームプランはやばかったけどみんなが根性で掴んだ勝利は凄い自信になると思います。自分もフォワード初トライをあげれて嬉しかったです。」 

 試合の様子は呆れるほど泥仕合。戦術もゲームメイクも滅茶苦茶であったものではない。しかしそれでも大きな大きな意味を生み出した試合。かつてない数のコンタクトとプッシュの連続、身体はボロボロだ。いつもの「申し訳ない」心理癖がついたFWは、「俺らで勝ったぞー!」とこぶしを突き上げることなど、もちろんありえない。しかしこの日は、柏陽フェニックス始まって以来の危機を、FWの力で見事に救ってみせた。

膝下に刺さり続けるEBI。試合毎にその進化は止まらない。

「膝下タックルがたくさんできて爽快だった。もうちょっとでトライがとれそうな所があった。今度はとれるようにしたい。」

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