All or Nothing 逆境くつがえせず
2008/02/18
2月17日、今にも雪が降りだしそうな寒空の下、横浜市7人制大会決勝トーナメント及び1年生トーナメントが行われた。柏陽はキャプテン・ケイ、両バイスキャプテン・椿ときむにぃ、FBコパがケガで欠場というかつてない大きな逆境。勝てば「この逆境をくつがえしての優勝」=最大の価値、負ければ「主力がいれば優勝できたのに」=むなしいだけのタラレバ。まさにALL or NOTHING。
激しいプレーでチームを引っ張るぴー(左)本調子まであと一歩の海さん(右)
最初に行われたのは1年生トーナメント。初戦の相手は半年以上前から1年生のみで活動している鶴見高校。経験は相手のほうが上だが、積み上げてきた練習の厳しさを考えると負けるわけにはいかない。しかし、先に1トライをとるも終盤に1トライ返され、結局引き分け。抽選の結果、準決勝に進むのは鶴見高校となった。抽選どうこうより、勝ちきれなかったという事実は敗れたに等しい意味を持つ。先週のセブンス練習試合で惨敗したのに続き、「自分達の代はこんなにも弱いんだ」と逃げ道のない事実を突きつけられた。続くプレート戦(敗者戦)では気持ちを切り替え、一人一人が体を張って完勝。「責任」を背負って体を張ることができたとき、ラグビーはこんなにも楽しくプレーできるんだという実感を得ることができた。「こんな気持ちで戦えば勝てる」「自分達の代はこのままではまずい」二つの事実を今後どう生かせるか。
あずきも復帰戦。チューに追いつくにはひたすら練習しかない!
続いて2年生決勝トーナメント。最初に登場したのは柏陽A。主将ケイ欠場の穴は「帰ってきたトライゲッター」キョータが、副将椿の穴は激しさを楽しめるようになった成長株ぴーが埋める。結果は横浜商大相手に余裕をもっての快勝。DFでは綻びを作らず、力の差を見せつけた。続いて登場した柏陽Bの相手は「優勝候補」と思われた希望が丘を予選プールで下した上郷高校。「Aとやるんだ!」と気持ちを高めて臨んだ。しかし、密集周辺で互角以上に戦うもトライゲッター不在の攻撃は得点に繋がらず、惜しくも力尽きた。
いまやチームいち激しいプレーができる男・たも
いよいよ準決勝。Bの声援を受けながら柏陽A対上郷高校。試合は緊迫したまま時間が経過した。リードして終盤を迎えるも、上郷意地の反撃。しかしセブンスキャプテン・カズが驚異的な守備範囲の広さをみせ、柏陽Aがなんとか逃げ切った。
決勝の相手はダークホース横浜高校。優勝候補の一角・神奈川工業を余裕で下して決勝まで進んできた。ALL or NOTHING。ここまできてNOTHINGではあまりに虚しい。チーム一丸となり、気合を入れてこの試合に臨んだ。
セブンスキャプテンとして快速を飛ばすカズ(左) 満身創痍ながら奮闘するチュー(右)
試合はこれまでの試合展開同様、柏陽のDF網が破られる気配はない。最初に得点したのは柏陽。セブンスキャプテンにして柏陽いちのトライゲッター・カズが走りきってトライを奪った。しかしここでさらなる逆境が柏陽を襲う。攻守に渡ってチームの命綱を握ってきたカズが脳震盪で退場。本来チームの主軸となるケイ、椿、コパ、きむにぃはケガでもとから欠場。膝のケガから復帰直後のチューと海さんは、準決勝までですでに満身創痍。なんという試練・・・。結局、まさにカズが抜けた穴を破られ、残り時間を守りきることができずに逆転負けを喫した。
馬力は抜群・あっき 帰ってきたトライゲッター・キョータ
あっき
今日は一年だけでの初の公式戦ということもあり、前々から気合いを入れて練習に望んでいました。結果、理想と現実の壁って奴をモロに体験できました。結構練習したんだから、タックルとかばちこーんって入れるんじゃないかと思っていたのですが、そんな淡い期待は脆くも崩されました。そんな簡単にうまくなれるんなら誰も苦労しないっていうのがよーくわかりました。そのおかげで明日からも練習がんばれそうです。もちろん横浜高校をやっつけられたことはとてもうれしかったです。
キョータ
すごい悔しかった。ゲーム中の雰囲気はよくて、みんな声を出して盛り上がれていた決勝までの試合に対して、決勝はカズがゲーム中にいなくなったのは大きかった。カズがいなくなった途端にみんなどうすればいいのか分からなくなった部分があったと思う。それから口数が減って、自分のことでいっぱいいっぱいになった。技術の面は、部活に復帰したばかりで、今日も迷惑かけてばっかで何も言える立場じゃないけど、ゲーム中のチームの雰囲気を盛り上がるぐらいは自分でも出来た。そこで気持ちが萎えて「やべー、カズいねぇ。どうしよ」「やべー、トライとられた」って考えて、実際の状況以上に気持ちの方がピンチになってしまった。そうゆう時こそ、強い気持ち持って、1人でもバカでかい声を出せばよかったと反省した。勝っているときに声出して盛り上がるのは簡単だけど、負けていたりピンチのときにこそ気持ちを出して盛り上げないといけない。これから戦ってく中で、きっとケガ人とかで、思わぬピンチになることはたくさんあると思う。そのピンチを大ピンチにしてしまうか、いつも通りでいられるかは自分達の意識で少しは変えられると思う。逆境に強い柏陽をめざす。
「よく頑張った」「いい経験になった」「このメンバーで準優勝は立派」などとは誰一人思っていない。優勝できる大会での敗退。欠場メンバーのタラレバを言っても仕方がない。ケガも実力のうちだ。ケガしたのは自分に運動能力やスキル、フィットネスが足りなかったからだ。試合に出たメンバー、試合に出られなかったメンバー、すべて含めて柏陽はこの日ただの敗者となった。
これほどの逆境を跳ね返せたら、どれだけ大きな価値が生まれただろうか。失望と脱力感だけがチームを覆う。最高のチャンスを逃し、「男になり損ねた」集団。この思いを晴らせるチャンスは3月5日に抽選会が行われる関東大会予選しかない。
体格、突破力、パワー、すべてが規格外の大器・ほっしゃん
魂のこもったプレーのリッキー 失意の表彰式
リッキー
一回戦、二回戦と順調に勝ち進めていよいよ決勝。おもいっきり自分のできる最高のプレーをやろうと思っていました。けど結果は…。悔しかった。本当に悔しかった。 優勝することしか考えてなかったので負けたことが信じられなかったです。 主力のメンバーに頼りすぎていたのがよくわかりました。
来週末の横浜との練習試合、絶対倒します!!
このセブンス大会の前日16日、場所は日本3大ラグビー場の一つ熊谷ラグビー場(他は秩父宮と花園)で、都県対抗試合が行われ、柏陽から唯一キャプテン・ケイが出場した。ちょうど1年前に約100人でスタートした選抜チームも絞りに絞られ、最終メンバー25人だ。関東の全県が、新人戦上位2チーム(神奈川県は桐蔭と公文)を除いたベストメンバーを組んで競い合う大会。ケイは最終選考で外れたものの、「練習会で彼が一番良かった」と、監督(関東学院・新堀先生)の目にとまり、ケガ辞退者の補充として再召集。この日は後半頭から出場、慣れないWTBでプレーした。
前半出場したWTBは全くボールを触るチャンスなく交替。ケイも普通に立っていては一度もボールに触れず終わってしまうだろう。しかしケイは積極的に動き、ラインブレイクしたCTBがパスしたくなる距離・タイミングでボールを要求した。追いすがられながら30m以上走りきってのトライ。その後も1対3の状態でも相手を積極的に抜きにかかりゲインを突破、捕まってもボールを生かすなど、無我夢中にして至福の30分を過ごした。
試合後、監督からほとんどの選手が厳しい評価を受けるなか、ケイに対するコメント「非常に良かったと思います。十分アピールできたんじゃないかな。トライも取れたし。あとはもっと強い体を作ることだね。」と賞賛された。
今後はもう一度リストに戻り、カズ・チュー・椿らとともにオール神奈川(国体)選手選考の対象となる。今年は桐蔭が千葉県の流経大柏高校に5-50で大敗するなど近年にない苦しい代を迎えており、神奈川県は下克上吹き荒れる乱世といわれている。可能性はごく小さい。しかし、意志のあるところに道は開ける。
ケイ
今日は、熊谷ラグビー場のCグランドで千葉代表との都県対抗戦があった。自分は、怪我人が出た関係で滑り込みで呼んでもらえたので出れるか分からなかったが、後半の頭から最後までウィングとして使ってもらうことができた。
結果からいうと、1トライとったものの、自分でわかるだけでイージーミスが2つ。もう少しやれた気もするが、いま出せるベストパフォーマンスに近いものは出せたという感じ。ではなにが足りなかったのか。明確だ。体が全く違った。今の体のままじゃこの先話にならない。自分の成長スピードに少し満足していたところがあったけど、今のままじゃ一生かかってもトップのやつらには追い付かないと思った。ただ、追いつくために何をすればいいのかもはっきり見えた。残り少ない高校生活。できる限りのことをやって、行けるところまで登りつめてみたい。
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