茫然自失の敗北。根源の差を痛感。
2007/12/18
目の前の現状が信じられない。ノーサイドの笛が鳴ったとき、いや試合中からすでに柏陽の誰もが茫然自失だった。完勝のシナリオはあった。しかし若干のズレで済まされず、シナリオはビリビリに破り捨てられた。決して緩んでいたわけではない。準備も周到だった。しかし信じられない大敗。
ラグビーは何年関わっても分からない。深い。「気持ち」という言葉を乱用するのは好きではない。365日の努力を欠いたくせに「気持ちだ!」と吼えている姿には、申し訳ないが冷たい視線を送ってしまう。ラグビーは番狂わせの少ないスポーツである。一見大番狂わせのような試合でも、ほとんどの場合その裏に完全な準備がなされ、そのうえで「気持ちだ!」なのだ。
しかしこの日の明暗を分けたのは「そのうえで」があったか否かであった。柏陽は完璧な準備をして、「平常どおり」の気持ちで臨んだ。ボールをワイドに動かし、すべての仕掛けが戦術的に高度な柏陽ラグビーでは、「緊張」や「浮き足立つ」があってはならない。だからこそ、この日はあえて「平常」を求めた。
一方の横須賀は「柏陽にこう勝つ」の周到な準備をしつつ、「燃えるような闘志」で向かってきた。柏陽よりふた周りは大きなFWを前面に出すスタイルは、見事なまでに闘志とリンクした。キックによる陣取り合戦を完全に制し、テンポを落としてFWラグビー。先のワールドカップでのイングランド・アルゼンチン・南アフリカを思い出す。横須賀をそれらに例えるなら、柏陽はまさにW杯のオーストラリアであった。いずれにせよ、挑みかかってくる王者に対し、挑戦者側が受けてしまったのだ。
ではこの結果は「気持ちの差」だけだったのか。決してそうではない。柏陽は「勝利」ではなく「勝者」となることを目指している。「勝つに相応しい集団」「勝つに相応しい個人」たりえていたか。答えはNOだ。実はこの週の練習ですら、当たり前のように遅刻者がでていた。部室周りも整頓されていない。雑用は相変わらずMG任せ。顧問の私に対する挨拶は素晴らしいが、OBや保護者の方々への挨拶も相変わらず消極的だ。つまり、「規律」が薄れていた。「体育会系の礼儀」もあまり好きではない。伸び伸びした自由な雰囲気が柏陽の良さでもある。しかしいつの間にか「勝つに相応しい集団」ではなく「サークル」になっていたのではないだろうか。
横須賀高校戦での我を失うかのような大敗、その原因は「気持ち」と「規律」だと思っている。人間として、チームとして根源的なところで負けていた。横須賀高校、お見事である。そして、ラグビーは何年やっても難しい。
柏陽はこれで何もかも失ったか。そんなことはない。積み重ねてきたものは消えやしない。挫折は乗り越えるためにある。叩かれたから強くなれるのだ。「フェニックス」が死ぬわけにはいかない。
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