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横須賀決戦09 

2009/09/24

 あの日から1年。PHOENIX生みの親・ケイ組が横須賀に破れたときの光景は決して忘れることができない。あの日から「打倒横須賀」は誰しもの目標となった。横須賀高校にとっては何の関係もない大会・横浜市セブンス大会で柏陽が惨敗したときのシボリの最中ですら「横須賀横須賀ァ!!」の絶叫は土砂降りのインゴールに鳴り響いた。ケイたちの才能と経験と選手層を持ってすら届かなかった存在(0-12)。

 代が変わり、客観的には柏陽は戦力大幅ダウン、横須賀はタレントを揃える充実の代(シードも奪還)だ。しかしそんな客観的戦力比較なんかで諦めがつく訳がない因縁のライバル。幸か不幸か、今年は一度も公式戦で対戦するクジは引けなかったが、花園予選前の最後の練習試合(気持ち的にはテストマッチ!)で、横須賀高校に挑ませてもらうこととなった。

 前日の試合前練習は、秋特有の決戦前メニュー。寄せ書き→試合前アップ→分かれ→コンビ→タックル→校歌→ジャージ授与式。体操の段階から迸る気合が、空間に溢れ出す。校歌のときには、1年ぶりに魂が揺さぶられそうな雰囲気に包まれた。相手は明らかなる格上だ。挑みかかる。

 23日午後3時10分、アップ開始。公式戦になると、私(監督)は試合展開に対して手も足も出せないのがラグビーだ。その場の選手が目の前で起きている事象を瞬時に分析し、自力で勝利を手繰り寄せるしかない。そのことを意識し、この日は試合前も途中もほとんどを選手たちのセルフコントロールに委ねた。しかし客観的に眺めてみると、実は大きな不安がよぎっていた。・・・表情がひどく硬い。口数が少なすぎる。集中しきっているというよりも、思いつめて視野思考が狭くなっているようにみえる。このテンションで正しいのか。足りないのか、行き過ぎているのか、ズレているのか。やってみなければ断定できないが・・・。

 午後4時00分、キックオフ。直後に心配は現実となってしまった。相手の上げたハイパントに対して、ナンバー8がキャッチを嫌がって逃げた。キッカーはダイレクトタッチや真上へのハイパントなど、エリアマネージメントにおいて致命的なキックミスを連発。スクラムとモールは、低さ・結束・粘りを欠き、本来の姿とは程遠いお粗末なもの。夏合宿で培ったゲームメイクを構成するべき各部品が、淡白でこだわりと激しさを欠く。そんな薄っぺらいプレーが公立唯一のシード校に通用するわけもない。強みが強みとならず、相手のミスに助けられて前半は「0-7」で折り返した。

 後半もゲームメイクの軸となる部品が横須賀に完全に封じられ、チャンスが生まれない。次第にタックルミスは増え、無念のノーサイド。後半は「5-5」最終スコア「5-12」で横須賀への挑戦は、跳ね返されてしまった。

 このスコアを、この敗戦をどう解釈するか。横須賀はやはりシード校に相応しい力を持っていた。気迫も充実していた。尊敬すべきチームだ。しかし今の柏陽にはそんなことや、元々の力差や環境の違いを云々言う必要はないだろう。いま思うべきは「ダメなプレー、ダメな試合をやってしまった」ということだけ。チームとして突き詰めていなかったプレーはすべて跳ね返された。そして最も自覚すべきは、個人として突き詰めていなかった選手は、ことごとく「そのワンプレーが直接の敗因」となったという事実だ。粗末なタックルミス、キックミス、走らない、押さない・・・。これがもし花園予選の引退試合であったなら、「やり切った」の爽快感は嘘っぽく、何を語ろうと茶番に過ぎなかった。そんな試合。

ほっしゃん

「個人的な問題だけど今回、こんなに重要な試合なのに途中退場という非常に情けないことになってしまった。残り僅かしか試合がないのでこんなことにならないように最後の期間、全力で練習と調整していきたい。」

イマカズ

「横須賀は去年花園予選で負けた因縁の相手。ケガでまだ万全とはいかなかったが当日はそんなこと全く関係なし!で練習のときから気合い入れて全開。でも試合ではなかなか思うようなプレーが出来ず、チームのやりたいことも出来ず敗北。100%出し切りを目標にしていたのに不完全燃焼に終わり悔しさだけが残った。「勝てた試合だった」今まで何度試合後に話した内容だろう。次は本当に最後。下を向いてる時間はない。ただひたすら今やれることを死ぬ気でやるだけ。」

まっつん

「自分の中では花園で、これで負けたら俺たちは終わり、という覚悟で臨んだはずだったんですが結果は負け。タックルでまともに相手を倒しきることもできずただただ不甲斐なさと悔しさが残った試合でした。幸運なことに自分たちにはまだ時間が残されているので最後の1分1秒までうまくなれると信じてこの悔しさをばねにして死ぬ気で頑張っていきたいと思います!」

 

 PHOENIXⅡほっしゃん組の最後の練習試合は終わった。残されたのは花園予選のみ。キックオフ前にすべてが決まる。残された僅かな時間でもう一度変革することができるか。一人ひとりが全ての言い訳と逃げ道を排除することができるか。9月25日から迎える「フィットネス期間」。個人においても、戦術においても、この期に及んで「創造的破壊」が始まる。

アフターファンクションでは、シード校の貫禄?を感じさせていただきました。

 

横須賀高校の皆さん、本当にありがとうございました。花園予選では完全燃焼しましょう!

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