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夏の総決算 因縁の桐蔭中等戦

2009/08/28

 夏はこの日のために過ごしてきたと言っても過言ではない。かつてケイ組が大敗を喫してチームの意識が変わり、最後の年に劇的な逆襲を果たした。そしてほっしゃん組に変わって、関東大会予選で屈辱の敗北。そんな因縁の相手。8月27日、夏の最終ターゲットとして、桐蔭学園中等教育学校との練習試合を行った。

 アップのときからこの試合が理想通りには進まないことは容易に理解できた。県下屈指の部員数。指導者は桐蔭学園を全国区に引き上げた名将。ひしひしと伝わってくる誠実さと気合。柏陽はこの夏、「逆襲中等!」を掲げて過ごしてきたが、相手だって同じように努力の日々を重ねて成長している。春の僅差は、詰まったのか変わらずなのか開いたのか、やってみなければ分からない。もちろん、負ける訳にはいかない。意地。

 キックオフ。お互いFWを軸に崩し、BKで仕留めにかかる。BKのパススキルは柏陽よりもはるかに優れているが、DF全般では決してひけを取らない。キックとカウンターのレベルに差はない。つまり似ている。一進一退の攻防が続き、均衡を破ったのは柏陽。強みを生かして先制トライを挙げた。その後も中等FWの重いヒットとBKの粘り腰のアタックに何度も崩されかけるが連続タックルでしつこく食らい付き、最後は中等がハンドリングエラーをする展開を繰り返す。緊張感漂う5-0でハーフタイム。ただし、開始早々に3年生SOまっつんが負傷退場し、1年生のカリブがSOに。DFは何の心配も要らないが、ATに関しての選択肢を3分の1程度に絞らざるを得ない。

 後半、待望の追加トライ。同じく1年生WTBのさっちがコーナーギリギリに飛び込み、10-0とリードを広げる。試合は前半以上に柏陽が管理。あとは残り時間を意識し、浮き足立たず管理されたゲームメイクを続けることができるか。ただし顔と雰囲気は全く悪くない。おそらく自信を裏付けるのは、そんな我慢の展開を夏合宿で嫌という程体験し、勝利してきたという事実だ。後半15分、勝利を決定付ける歓喜のトライ。オギの動きに反応したまりもが瞬時にここしかないというスペースに走りこみ、一気にゴールラインを駆け抜けた。

 最後まで走って押して攻めて、ついに迎えたノーサイド。スコアは「15-0」。夏の集大成。理想的とは言えない粗末なプレーと甘いタックルに目を瞑るわけにはいかないが、それでも自分たちの歩みに自信を深めることができる勝利となった。

闘将ほっしゃん(重症をおして強行出場)

「4月に負けて以来自分達の代の「逆襲」ターゲットの桐蔭中等。強いということはわかりきったことなので100%出し切り、出し惜しみ無しで臨みました。予想通り簡単にはいきません。このどちらがいつトライするかわからない緊迫した中で自分達のゲームメイクができたことが勝因だったと思います。何はともあれ勝ててよかったです。」

まりも(司令塔、本調子まであと一歩)

「今回の試合は夏の総決算でありまた春に負けた相手と言うのもあり非常に気持ちを入れて臨みました。結果は勝ちはしたたものの自分個人としてはキックが本当にありえないほど最悪だったのでもっと練習したいし、またもっと練習できるようコンディショニングもしたいと思います。でも本当に勝ててよかったです。」

うみさん(ハードタックラーとして3年目の開花)

「4月の関東予選で桐蔭中等に負けてから、一番リベンジしたい相手になった。だから、この夏の試合の中で一番勝ちたいと思っていたのはこの試合。そうは言っても、昨日の夜は、明日負けたら今までの4か月は無駄になるのではと思い、正直今日が来るのが怖かった。試合は、ゲームプランがうまくいったのと粘りのDFで失点しなかったので、良かったと思う。合宿辺りから、気持ちの入った試合がかなりできるようになってきてるので、この調子で花園予選を戦っていきたいと思います。」

カリブ(DF力は柏陽BKイチ)

「中等戦は前半の途中から出て、急だったから、緊張気味だった。試合は、必死でやって、気が付いたら終わってた。でも、今回の試合でキックの重要性を改めて感じたから、これからもキック練習頑張ります!」

さっち(安定した活躍は努力の裏づけあり)

「チームとして桐蔭中等に勝ててよかったです。ただ、個人的にこの試合は、チェイス後のディフェンス、コール、ノッコンなど、大事なところでのミス、反省点が目立ちました。そこはこれからの意識的な個人練習が必要だと思いました。」

 ノーサイド直後。中等の選手が延々と1周走を開始。いわゆるシボリだ。シボリは(指導者と選手の間に信頼関係が確立していれば!)決して否定されるべき行いではない。指導者の「怒りの処理」とも、「お仕置き」ともはっきり異なる。「悔しさを細胞の深くにインプットする」「誇りを再度自覚する」「切り替える」など、さまざまな意味をもたらす。そんな1周走を見て、あらためて畏怖の感情が沸き起こる。中等の試合後の姿を、柏陽の方こそ心に刻みこむべきだ。

 ガンセキが一人で対抗するも、アフターファンクションは芸も歌も完敗でした!桐蔭中等の皆さん、本当にありがとうございました!

 

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