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横浜冬セブンス 天国のち地獄、そしてリスタート

2009/02/09

 思い返せば昨年の横浜冬セブンス、ケイとカズをケガで欠き、決勝戦で「逆境」を覆すことができず、失意のノーサイドを迎えた。09年に入って最初の公式戦、今年も用意されたシナリオは、悲しいほど同じものだった。

 優勝を目指して編成された柏陽A、自由にチャレンジする柏陽B、並行して柏陽1年(1年生トーナメント)。ところが大会前にケガ人が続出。司令塔を担うはずだったまりもとまっつんが、ケガにより欠場が決定。柏陽Aは、エントリー後にBK2枚を欠いた。本来セブンスとは走力のあるBKとFL・NO8あたりで構成されるもの。昨年のチームでも柏陽Aに前5人から入ったのは椿一人だった。ところが今年のチームは気がつくと7人のうちFWが4人。しかもフロントロー(1・2・3番)が3人とも入っている・・・。

突破とトライを重ねたあっき。得意のバックフリップパスも成功?

「 ごめんなさい。 あのパスはただのハンドリングエラーです(笑)  だけど、明日は決めたいと思っています(笑)」

 不安と期待が入り 混じる中で迎えた初日、柏陽Aは松陽高校に「37-0」、横浜隼人に「29-7」で快勝し、あっさりと予選Bプール1位通過を決めた。柏陽Bはというと、初戦の相手が優勝候補筆頭の希望ヶ丘。大会前の予想では、出場全チームが希望ヶ丘に引き裂かれて終るのでは・・・と思われたほどのタレントを擁する才能集団だ。ところが蓋を開けてみると希望ヶ丘のメンバーがそうではなかった。中学時代から県を代表する天才双子は、翌週に控える都県対抗大会の神奈川県選抜メンバーに選出されているため、この日は「温存」されるかたちとなり、全体としてメンバーを下級生中心に構成してきたのだ。

 そんな希望ヶ丘に対し、柏陽Bが(思わぬ?)最高の結果を出した。大会通じて大活躍だったトキ&あっきが自由奔放にアタックを仕掛け、周りがサポートする。不意にBIG HIGHがラックサイドを突き抜ける。絶対不利どころか記録的大敗が予想されていた試合の結末は、まさかの「ロスタイム同点トライ&逆転さよならゴール」でノーサイド。続く武相を「21-0」で下し、柏陽Bは本人たちも驚きのCプール1位通過を決めた。

 初日を終了。柏陽はAB揃って1位通過。試合後は希望ヶ丘、横浜、川和と合同でガチンコスクラムセッションを行い、柏陽はすべてのチームに「スクラムで走る」の完全勝利。この日を満面の笑顔で終えた。

ほっしゃん

「セブンスはたくさん走らなくてはいけないので走るのが苦手なワタクシとしては内心ビビっておりました。でもなんとかABともに決勝進出できて一安心。明日の相手は強敵だけどここまできたら優勝するしかないっ!」

トキは攻守に存在感抜群!初日のドロップゴール成功率は100%

「セブンスでは普段慣れないことばかりでした。スクラムで三番やったり、ディフェンスの時バックスラインに何回も入ったり・・・大変だったけど、その中で成功したこともあったんでそれを15人制で活かせればいいと思いました。」

 そして迎えた2日目。もう一つのAプールを1位通過したのは昨年の冬セブンス優勝の横浜高校。柏陽AとBが横浜と優勝を争い、1年生トーナメントでも優勝を目指す。第一陣として午前中に登場したのは柏陽1年。司令塔まりもを欠いたのは、あまりに痛すぎる。リザーブもゼロ。それでもエースオギを中心に、他校の1年生を打ち負かすだけの力は持っているはずだ。・・・はずだった。始まってみると、内容は「柏陽PHOENIX」の名に泥を塗るような、最低のもの。顔は弱気、抜かれるときも人任せ、一人ひとりが勝負する気持ちなし。川和高校相手に、ロスタイム逆転トライで勝利したものの、この1年間で最低とも言える恥ずかしい内容だった。

 この学年、各自の能力は非常に高い。デカい、強い、速い、上手い。能力は2年生以上と断定していいだろう。いい学年だ。しかしまだ1年生は所詮1年生だった。中身の強さ、集団としての強さはからっきしだったことを、自ら証明してしまった。決勝の希望ヶ丘戦では、ケガでチマを欠き、6人で戦って敗北。喜ぶ希望ヶ丘1年の横で打ちひしがれる柏陽1年。しかし結果は実態どおりだ。ケガだってケガした選手が悪いだけだ。いずれのケガも集中力で防ぐことは可能だった。試合中に何度も訪れる「弱い自分との対峙」に連敗した。顔は弱気、アタックもDFも受身、声を出しているようで人任せ。「俺がやる」の鋭い目つきで、相手に襲い掛かる光景はなかった。

 この姿は、リーグ戦にも恐ろしいほど伝染した。優勝を決定する柏陽A対横浜高校では、先制トライを奪って前半を折り返すも、キックオフミスで相手に主導権を譲り渡し、ケガで6人となり、なす術なく逆転敗北ノーサイド。Bはあっきとトキが必死に挑みかかるも、自力で劣る側が6人で戦っては勝負にならない。手にしかけた優勝を横浜高校に譲り渡した。

 無冠で終わる伏線は見えていた。昨年末、3年生が引退し、初めての手にした主導権に緊張感とやる気を漲らしていた。それがいつの間にか弛んだ。「誰か一人がひっぱるのではなく、みんなで協力して進んでいきます」と言って始動したチームも、いつの間にか「誰も現状に危機感を抱かない仲良し集団」の色を帯び、ケイというカリスマが作り出した「勝負する集団の雰囲気」は消えていった。1・2年生問わず、環境に慣れるにつれ、一人きりでも黙々と個人練習をする姿は、日ごとに減っていった。明らかに緩い。甘い。仲の良さがそれに気付かせない・・・。そしてこの日、事実がすべてを証明した。

 

「Necessary loss」という言葉を、サントリーの清宮監督が使ったが、この日の惨めな敗北は柏陽フェニックスにとってはターニングポイントとなりうるし、痛い目に遭わなければ気付かなかった「必要な敗北」だったのかもしれない。すべてが終るとき、過ごした日々を後悔するのはあまりにもったいない。過ごした日々のどの瞬間も、誇りに思いたい。リスタート。もう一度、すべての瞬間にベストを尽くそう。それが柏陽フェニックスの誇り。

それに気付いたのなら、リスタートのホイッスルは早いほうがいい。

そう、今すぐ。

・・・ということで、元気を出して1周走10本+自主的アゲイン1本!

「柏陽!スマイル!!」

「あぁ!気持ちいっぃっ!!(絶叫気味)」

 大会終了後のグランドに、他校にとっては世にも奇妙な叫び声と笑い声が響き渡った。

オギ

「この土日、自信と危機感の両方を感じた二日間でした。個人的に今回のセブンスでは、『相手を外にぬく』を目標にしていたので、その面では自信がつきました。でも二日目は、ベストを尽くしたつもりだったのに横浜に負けてしまい、今の実力を知り危機感を感じました。今考えてみると、筋トレのレストをすべて守れていたか、朝練は目的意識を持って私語なくやっていたか、放課後に部室まで猛ダッシュで行くことができていたか、と今までの日々の過ごし方を改善しなけば…と感じました。これが口だけにならないよう、早速明日から日々の生活を改めます。そして格上相手に通用するチームになります。」

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