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関東学院戦・解釈とシナリオ

2008/12/21

 1221日、新人戦2回戦・VS関東学院戦が行なわれた。先週の風雨とは対照的なほど暖かな小春日和、しかし待ち受けていたものは、風雨どころかハリケーンに飲み込まれたような惨状だった。

 ウォームアップから桁の違いは感じられた。さすがはコンタクトの威力は県最強レベルの関東学院、50m離れたウォームアップから骨のきしむような鈍く激しい音が聞こえてくる。それでも半年前の横浜市大会では柏陽が低いタックルで応戦し、トライチャンスを逃さず、誰もが驚く大番狂わせをやってのけた。13名が引退し、完全別チームとなった新生柏陽のプレーは関東に通用するのか、自信とは決していえないレベルだが若干の期待感を持ってキックオフを迎えた。

 すぐに分かった。関東は変わっていた。かつての姿と違い、県屈指の天才SOを基点にボールをテンポ良く動かす。近場のコンタクト一辺倒の姿は既になく、強烈なコンタクトで局面を完全制圧しながらも、実にスピーディーにボールを展開する。最終的に目指すDFの第一段階「まず一人ひとりが前に出られるようになろう」を掲げ、これもまだ習得できていない柏陽はDFに抜いてくださいと言わんばかりのギャップを作り、相手SOにズタズタに切り刻まれる。

 アタックに関しても、ブレイクダウンで完全敗北。ボールキャリアーの当たり方にほんの少し隙があると片っ端からターンオーバーを食らい、掲げる連続攻撃が成り立たない。コンタクトで支配され、試合展開も下がりながらのDFばかり。必然的に、元からたいして準備されていない体力(ランニングフィットネス)はあっという間に底を尽きた。テーマに掲げた「前に出るDF」「継続アタック」は実行不可能に陥り、あとは相手の練習台のように叩きのめされるだけだった。

 「0-58」でノーサイド。この瞬間、ケイたちが3年かけて作り上げた県下での地位や評判は完全に崩れ去った。「今年の柏陽は弱いよ」で、評価は確定。多くのチームの眼中から消えた。それが事実。紛れもなく、これが今の実力だ。

タニ

「今日は、関東学院が相手なのでかなり厳しい試合になると思っていたけど、予想以上に自分達のしたいプレーが出来なかった。アタックは、ヒットの姿勢が高くて相手に絡まれ、何度もターンオーバーされてしまった。ディフェンスは、タックルで一発で倒せなかったことが課題だと思う。この試合の悔しさを忘れずに今後の練習をしていって、次に戦うときは、今日ボコボコにされた分の借りを返して勝てるようにしたい。」

ぴー

「今日の試合はスコアもゲーム内容も惨敗。力の違いがはっきり出た。個人としては特にスローが良くなかった。疲れている時こそ集中しなければいけないのに集中しきれていなかった。FWはサイドディフェンスが悪く、ここで関東のアタックに勢いをつけてしまったと思う。FWフェーズアタックに気を取られてサイドディフェンスの練習をあまり出来ていなかったので、今後は攻守バランスのとれた練習をしていく必要があると感じた。スクラムは前半はかなり苦戦したけど後半は安定したので、この試合で唯一良かった所だった。今回、関東と試合をしてわかったサイドディフェンスの弱さと自分のスローの不安定さ。弱点を克服して、次に関東とやる時は勝つ。柏陽より強いチームはまだまだたくさんあるし、そいつらを倒していくのが凄く楽しみだ。」

 過去は変えられない。未来は変えられる。ただしそれは、目の前の現実をどう解釈するか、そしてどう決意できるかよって決まる。あと数ヵ月後、今日の敗戦をどう思っているだろうか。

「あの関東戦のおかげで、今の姿がある。あの大敗が俺たちのスタートだった。」と、逞しい顔で胸を張っているのだろうか。「あの関東戦で分かった。やっぱり俺たち弱い代だ。事実だから仕方ないけど、俺たちなりに頑張ってるし。」と、目線を下げて納得しているのだろうか。

 チームほっしゃんのストーリーは、確かに始まったばかりだ。しかしケイたち3年生が残した言葉にあるように、あっという間にエンディングは訪れる。どんなシナリオを求めるのか、それは自分たちで決めるしかない。

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